玄海さんのこと。

池田美樹です。

さかのぼること3/8(金)、居酒屋にて懇親会。
玄海さんを囲んで、
文字通りぐるりと囲んで、わいわいと賑やかな宴席になりました。

長じて演劇に触れた私らと違って「芝居の世界に生まれた」玄海さん。
歌・踊り・演技の技術はもちろん、
「興行」の面でもとことん鍛え上げられている玄海さんのお話はかなり刺激的です。

玄海さん。
初対面は10年前。
熊本お城まつりでの、
「ばってん荒川・玄海竜二・劇団きらら」というかなりの無茶振り企画(>_<)。
明治・大正・昭和、いろんな時代をさかのぼる詩で3者をつなぐ、というもの。

四苦八苦して作った詩を持参して初・道場。
待つこと数分。
髪を束ね、眼光鋭い男性登場。

「これは使えないね」
黙読した玄海さんが言われた。
私も血の気が多かったからカチンと来た。
「〈時代劇の人)がきららを理解してくれるわけないじゃん」
そう思ってもいた。

「お城にはいろんな世代の人が来る。そのすべての人に楽しんでもらわないと」
…わかっとるわい。
でもきららはこういうのを見せたいんじゃい。

「この人とは合わない」
勝手に決めつけた。
「この人も私を理解しない」
さらに勝手に決め付けた。
この仕事断ってもいいや。そうも思った。

だけど。
玄海さんは丁寧に話を続けられた。
「先輩たちから聞いた話だけど、昔、熊本にはたくさんの芝居小屋があった。
テレビも映画もない時代だから皆とても楽しみにしていたんだそうだよ。
中でも新市街(繁華街)にあった小屋はとても賑わってたんだって。
おもしろい話があってね、
小屋の近くに銭湯があったんだけど、芝居がハネた旅役者たちもそこに行く。
観終わった人もそこに行く。役者が風呂で化粧を流す。
それを見ていたこどもが、
「うわぁ、普通の人にならした~!」
って叫んだんだって」

古きよき時代の、本当にあった話。
玄海さんはたくさんのエピソードを話してくれた。
私も親やその周囲から聞いた話を思い出して、しゃべった。
真摯にうなづき、笑ってくれた。
そして、

「…そう!だからそんな話を書いてよ!」

え??
冒頭のひとことは、私を拒否されたわけではなく、
「もっとふさわしいものがある」と思われての言葉だった。
…と気づいてかなり恥ずかしくなった。

「この人は、全体を見る人だ」

ある程度社会的地位がある大人の人にしばしば感じる、
見栄・ハッタリ・プライド・自己自慢。
それがまるっきりない、でっかい人。

以降、イベントやお芝居でご一緒させて頂くごとにその思いは深まった。
なんだかね、
手に持ってる大好きなお菓子を、皆にぱーっと配っちゃえる人。
それをおいしく食べてる人たちの顔を見て、
嬉しく笑える人。

今回。
毎日、一緒に居る。
日ごとにかっこいい。
もうね、日ごとにかっこいい。あの…もう、日ごとにかっこいい。

一晩で翌日上演の作品を作ってしまう大衆演劇の皆さんにとって、
一ヶ月稽古するとか、同じ場面を何度も返すとか、
「驚きのめんどくささ」だそうだ(^^;)

だけどそれをおもしろがって、
ささいな変化もみつけておもしろがって、
作者の大迫と演出の私を立てて下さって、
だけど必要なところはバシッと締めて下さって。

「全体にいちばん必要なこと」を瞬時に掴む。
そこに「自己自慢」が皆無。
こんな人が居るのか。

片岡演劇道場。
この名前をつけられたのは片岡長次郎さん。
玄海さんのおとうさん。

劇場ではなく、道場。
「地元じゃ人気があるけど、よそではさっぱり。
旅芝居の劇団はそれでは意味がない。
全国どこに行ってもファンがついて、また来て欲しいと思われなければならない。
そんな劇団の修行の場を作りたい。
だから人気劇団・新規劇団の差異なく受け入れて、修行してもらいたい。
だから劇場ではなく「道場」なんだよ」

小倉弁、関西弁、熊本弁、
いろんな言葉が入り混じる玄海弁。
だけどこんな話をされるときは標準語。

日々道場で稽古し、公演できることの感慨。

気づけば2時間の予定が3時間半!
「源兵衛」チームがグッと近くなれた夜でした。

こんな「演劇人」が熊本に居る。
長者、ちょうじゃ。

玄海さんのこと。” への1件のコメント

  1. 玄海さんが、この前テレビでお父さんから言われたことをおっしゃてのが、「医者と役者は一字違い、医者は病気を治して
    役者は心の病気を治すから、お前たち演劇を捨てるなよ」と言われていたそうです。
    子ども劇場では生の舞台を観るとは「心の栄養」と言われています。
    いよいよ明日ですね、楽しみにしています。

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